POTとは何か

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  • はじめに

    POTはPrehospital Orbital Training の略で、心肺停止前の傷病者のフィジカルアセスメントに特化したトレーニングである。

    現在までの救急救命士(救命士)の職務は、心肺蘇生法の質の維持と、心肺機能停止傷病者の救命率の向上に重点が置かれていた。そのため、多くの研修機関では心臓機能停止後の特定行為の習得に多くの時間が割かれていた。

    包括的除細動を含む特定行為等の業務拡大・高度化も専ら心肺機能停止後の措置に関するもので、現在、心肺機能停止前の医療行為及び応急 処置を含む救急業務には、空白地帯というべき停滞が生じている。

    本来ならば、心肺機能停止を防ぐための医療行為こそ院外救急業務の本質である。2011年から救急救命士の処置範囲に係る研究よる吸入βアドレナリン受容体刺激薬、静脈路確保、ブドウ糖投与の3項目からなる心肺機能停止前における業務拡大の実証研究が開始されたが、これは救命士が病態把握を行うことが、今後の活動の中で極めて重要であるということを示すことになった。

    心肺機能停止前における特定行為の可否を判断するには、心肺機能停止の判断以上に高度な医学的知識・ 技術に基づいた初期観察・全身観察が必要となるからである。これは、心肺機能停止前における特定行為と並んで、今後20年の救急救命士のあり方を方向付ける、重要なブレークスルーとなる可能性がある。現在、心肺機能停止を予防するための応急処置・医療行為こそ、今後の救急救命士制度発展の鍵になると考えられている。

    POTとは何か

    POTは、救急救命東京研修所の南らが中心となり開発された限定された種類の疾患で構成されるシナリオを使用した救命士とfacilitator(ファシリテーター)との間で行われる双方向性のシミュレーションである。

    疾患ごとに理学所見に関するテーマが設定されており、シミュレーターによる病態把握を目的としたシミュレーション→把握した病態のプレゼンテーション→ディスカッション→講義という 一連のフローによって参加者自身に気付きを与え、短時間の講習でテーマの重要性が認識できる構成になっている。POTでは、テーマごとに2から3症例のシミュレーションが一つのタームを形成する。

    例えば、テーマを「呼吸音」とし、呼吸音に特徴的な所見を呈する疾患3症例のシミュレーション 3想定・所見付与 POTでは、想定・所見付与を言葉では一切与えず、音声・画像・イラスト・動画で提供する。救急救命士は初期観察、全身観察によって自ら理学所見を求め、想定・所見付与の意味を自ら判断して症例の病態を把握する。その後、これらの所見から傷病者の病態を把握することになる。

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    POTの構成

    POTアドバンスは症例提示、プレゼンテーション&ディスカッション、レクチャーの3パートから構成される。それぞれの時間は症例提示が10分を各3人(計30分)、プレゼンテーション&ディスカッション(15〜20分)、レクチャー(10〜15分)という構成で行うのが標準である。

    POTでの症例提示の方法とそのポイント

    特別に決まった方法は決めていない。実際にどのような流れで、症例を提示するかであるが、特に決まった方法はない。だいたい、1症例につき2〜3名の救命士に傷病者の病態を観察してもらい、その後観察した症例をホワイトボードや黒板などにまとめてもらう。
    観察は約10分程度で行うが、やり方などについてはどんなやりかたでも構わない。なるべく、普段やっているような自由度をもたせた観察を行うようにする。

     

    POTの実施例

    症例観察の方法であるが現在は大体2つの方法でおこなっている。

    方法1 カンファレンス方式 (救命士が多数でPCが1台ずつ用意されている場合) 

    この方法はPCが1台を用いて行う場合である。救命士2〜3名で行う場合は、最初に順番を決めて、2番目、3番目の救命士はなるべき、別室で待機して自分以外の救命士の観察を参考にしないようにする。その理由は症例を観察すると自分の考えが他の人の考えに誘導される恐れがあるからである。具体的なやりとりは以下に示す。

    POTのファシリテーターのやり方の一例

    ファシリテーター 救命士コメント
    では、POTを始めます。ここに傷病者がいます。この傷病者を観察してどのような病態なのかを述べてください。時間は約10分程度です。観察の仕方は特にきまったことはありません。ただし、傷病者に関する質問は、スライド記載の情報以外はありませんので、与えられた情報から判断してください。

    これが、傷病者の情報です。メモを取っても構いません。次の順番の救命士の方は、これをお読みになったあと、となりの部屋で待機していてください。

    では、最初の救命士の方どうぞ。スライドは時間内なら何回でも見ることができます。
    まず、意識レベルをお願いします。なるほど。
    次は何を観察しますか? まず顔面です。
    外見は正常。対光反射も正常。
    次はなにですか? バイタルサインをお願いします。心電図、血圧、SPO2全部です。
    血圧は100/70。HR80。SP02 98ですね。正常です。
    次はなにですか? 手を見せてください。正常です。
    次はなにですか? 循環血液量を確認したいです。外頸静脈を見せてください。頸部をお願いします。
    仰臥位で外頸静脈はまだ見えますね。はっきりしないので、体位を変えてみます。下肢をあげてみてください。
    なるほど。正常ですね。
    次はなにですか? 呼吸音、心音を確認したいですね。
    心音は正常です。
    呼吸音も正常です。
    次はなにですか? 原因を考察したいですね。全身を見てみたいですね。腹部、胸部、背部、下肢など順に観察します。
    胸部には外見上異常はないようです。
    腹部はとくに異常はありません。
    他に確認するのはないですか? 便と尿を見せてください
    なるほど正常ですね。
    他はないですか? 12誘導心電図を見せてください。
    正常だと思います。
    他はないですか? 脳内の出血も確認したいですね。瞳孔など正常でした。神経学的所見が観察できますか?
    なるほど、問題はないのではないかと。少なくとも麻痺は否定的です。
    F:ありがとうございました。では、あとでホワイトボードにまとめていただき、その後プレゼンテーションしていただきます。隣の部屋に待機している救命の方と交代です。 ありがとうございました。

    方法2 グループ方式 (救命士5〜6名が各テーブルにグループに分かれており、各テーブルににPCが1台ずつ用意されている場合)

    この時は特に症例を観察する人を決めておらず、テーブルごとのグループで1症例を観察する方法である。この時は各テーブルにPCを1台ずつ設置しておかなければならないが、同時に観察ができるために非常に時間が短縮化され、また観察の間も話し合いが行われるというメリットがある。

    F: では、POTを始めます。ここに傷病者がいます。この傷病者をグループごとに観察してください。時間は約10分程度です。観察の仕方は特にきまったことはありません。ただし、傷病者に関する質問は、スライド記載の情報以外はありませんので、与えられた情報から判断してください。

    (グループでPCを観察し、シミュレーターを聴診しながら全体で10分間話し合う)

    F:では、あとでホワイトボードにまとめていただき、その後代表者1名の方にプレゼンテーションしていただきます。



    大体2つの大きな方法を提示しているが、これは開催するファシリテーターでアレンジしても問題はない。肝心なことは楽しく自由にやってもらうことである。

    やり方など特に決めていない。自分たちで好きなようにスライド見て症例を提示しあいながら、考察するのがよい

    POTに関する問い合わせ先

    機器や講義資料が必要な時はこちらに問い合わせてください。

    講義スライド・シミュレーター
    レールダル メディカル ジャパン株式会社
    〒102-0082  東京都千代田区一番町8 住友不動産一番町ビル5階
    TEL:03-3222-8080 FAX:03-3222-8081

    講義資料
    株式会社 ぱーそん書房
    〒101?0062東京都千代田区神田駿河台2?4?4 明治書房ビル5F
    TEL:03?5283?7009(代表)  Fax:03-5283-7010
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